Les miZenables

ブログをメモ帳と勘違いしている

映画『エリジウム』を観た話。

あらすじ

エリジウムSF映画。2100年代のアメリカと居住衛星エリジウムが舞台。地球はすでにありえんほどに荒廃してしまっているので、どもかしこもスラム街といった趣。貧民が住んでいる。対して、エリジウムは金持ちたちの住む世界。貧富の差は著しく、エリジウムに住んでいる人間は自らを「市民」と呼んでいるが、かたや地球に住んでいる人々は市民ではない。

地球の男性、マックスは、伝説的な車泥棒として名前を馳せたこともあったが、今はエリジウムに憧れながらも、ドローンの製造工場で働いている。ドローンの製造過程には、放射線での洗浄があるのだが、このマックス、事故に巻き込まれて高濃度の放射線を浴びてしまう。医師が言うには、余命5日。助かる方法があるとすれば、エリジウムに行き、医療用ポッドに入ることだけだ。一度は足を洗ったマックスだったが、死にたくない一心で、ギャングの申し出を受けることにする。それは、ドローン製造業界の重鎮を誘拐し、脳のデータを盗み取るというものだった。

エリジウム (字幕版)

エリジウム (字幕版)

加点ポイント

  • 医療用ポッド
  • 脳が無事なら木っ端微塵になった顔も元どおりになり、白血病も直すなど、ほぼ万能の医療器具。利用するには、エリジウム市民であることを示さなければならない。多分生体認証。

  • パワードスーツ
  • 装着者の神経系に組み込む形式の外部骨格。急性放射線被曝の主人公も、これを身につければドローン並の身体能力を発揮することができる。と、この文章だけで激アツポイントは高めなのだが、劇中ではタフネスっぷりを発揮するのみで、高速機動や散弾をものともしない……というスーパーヒーロー的な描写は薄い。多分作業用。

  • キャスト
  • 主人公にマッド・デイモン、ヒロインにジョディ・フォスター、脇役にウィリアム・フィヒトナーなど。

エリジウム (字幕版)

エリジウム (字幕版)

監督と関連作品

監督は『第九地区』や『チャッピー』で同じみのニール・ブロムカンプ。公開順に言うならば、『第九地区』と『チャッピー』の間に当たる。そう考えると、劇中で登場する警備ドロイドや医療用ドロイドに、似たようなデザインを感じるし、この路線のデザインは本当に良い。

第9地区 (字幕版)

第9地区 (字幕版)

読後感想会

面白かった

映画の見方には色々あって、そこで得るものも色々ある。だから、「明日からの仕事もがんばろうと思いました」ってのが唯一の正解というわけではない。さてこの映画を見て、何かが変わりましたか? 

僕はこういう形で貧困にあるわけではないし、かといって自分がエリジウム側の人間だとも思えない。僕はどこにいるのだろう……と途方に暮れる結果になった。もちろん日々の生活は苦しいが、空調は回っているし、犯罪歴もなく、唐突な解雇という恐れもない(あるとすれば、それは事前に告知していた通りにことが進んだだけにすぎない)。

この物語は、地球とエリジウムという風に、ディストピアユートピアに二極化されている。そういう意味では戯画的な物語なのだが、おそらく似たような状況はこの惑星の上にだって現在進行形で起こっていることだろう。

ブロムカンプという人の作品は、他に二作しか見ていないけれど、どちらも治安の極端に悪そうな世界が舞台になっている。その中で、必死に自分の生に固執したり、他者への思いやりが表現されている。どんな環境に身を置いても、精神の気高さは存在するのだと見ることもできる。おそらくはこのテーマの表現方法の1つとして、『第九地区』『チャッピー』では「人間の姿形を捨てる」という表現がなされるのだ。

この路線で妄想するならば、おそらくニール・ブロムカンプという人は仮面ライダー好きだと思うし、そのうち仮面ライダーも撮ってみてほしいと願わずにいられない。