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ブログをメモ帳と勘違いしている

004本目: 『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)をネタバレなしで振り返る。

◎ネタバレしないように、エンドゲームを紹介する。

10年に渡るアベンジャーズの物語が終わる。アイアンマンの登場からはじまり、キャプテン・アメリカマイティ・ソーなど様々なヒーローが地球を、それどころか宇宙を守るために戦ってきた。彼らそれぞれに物語があり、守るべき人々と貫くべき正義があった。大いなる力ゆえの責任もあり、その葛藤の中で自分自身を探し、一歩一歩進んできた。その歴史にひとつの幕が下ろされる。

歴史とは、現在の時点から振り返ったときに示される言葉だ。過去に点在する出来事を想起してはじめて、歴史が現前することになる。時系列順というのはひとつの見方であって、ただひとつの正義というわけではない。すでに起こってしまった出来事を取り消すことはできず、できて一時的に目を背けることだけで、しかしそれにしてもいつかは立ち向かわなければならないのだ。そこには正しい順番も何もない。ただある出来事に対する認識が深くなっていくだけだ。

アベンジャーズに関連する過去の作品を見ることは、そのひとつひとつの出来事を追体験することに他ならない。限られた時間に対してその総体は大きいから、全てを見ようとすると、困難なことになるだろう。しかし、ヒーロー達だって一歩一歩進んできたのだ。決してまっすぐな道のりではなかった。その足跡をひとつひとつ辿っていくことで、彼らに対する思い入れが深くなることはあっても、物語の価値が損なわれることはないと思う。『アベンジャーズ/エンドゲーム』が初めて見た作品になったとしても、それは単に過去の作品を忘れていたようなものなのだ。

『アイアンマン』から一連の作品を見てきた者にとっては、この『アベンジャーズ/エンドゲーム』は特殊な経験になる。常に次の作品を渇望してきたことになるから、その欲望が満たされれば快感に繋がる。それを追体験する意味では、作品を順番に見ることには価値がある。しかしながら、これは歴史を想起するのとは別の基準だ。

想起の優れた点は、編集ができるという点にある。物事を思い出す時に、順番通りに並んでいるかというと、必ずしもそうではない。『アイアンマン』は『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』よりも後の時代の話だが、公開されたのは『アイアンマン』が先だ。どちらから先に見ても、頭の中で、作品世界の歴史順に並び替えることができる。『アベンジャーズ/エンドゲーム』から初めて、過去の作品を見直していき、最後にまた『エンドゲーム』を見るのも楽しみ方のひとつだと思う。

映画の常として、『アベンジャーズ/エンドゲーム』が劇場で公開される期間には限りがある。たとえばIMAX 3Dという環境で、この映画を楽しむことができるのは今しかない。順番に見ていくのもひとつの方法ではある。けれども、他の作品を見ていって、チャンスを逃すおそれがあるならば、先に映画館に行ってしまうのも手だと思う。ぜひヒーロー達の物語が、ひとつの終わりを迎えるところを、劇場で体験しておくことをオススメする。歴史の当事者になるのは、常に今しかないのだから。