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ブログをメモ帳と勘違いしている

『グリーンランプの灯し方』を配信しました。

『グリーンランプの灯し方』は織倉未然著の未完の長編。地球が住めなくなった未来、地球を捨てて宇宙放浪の旅に出た人類が、再び居住可能な惑星に住み始めた時代の話。言語SFであり、ラブストーリーである。タイトルは構想段階では『グリーンランプの陽のもとに』だったが、色々あってやめた。

kakuyomu.jp

あらすじ

主人公の〈僕〉は、学生時代に発症した心因性の病から、社会への関わりを避けて過ごしてきた。趣味として小説を書いているが、その事実はほとんど誰も知らない。ある日、〈僕〉の唯一の友人である〈鯨〉が宇宙から帰ってくる。彼から孤独の話を聞き、メイドを雇うことを勧められる。心因性の病から、生存へのリソースが限定的になっていた〈僕〉だったが、感情表現機構の伴っていない転職組のメイド――レイチェ・ルメイユを雇うことで、彼は自分のやりたいことを一つずつ実行に移していけるようになる。そんな折り、研究調査団の報告で、彼らが居住したばかりの惑星には大きな秘密があることが明らかになる。惑星全土を覆う言語体――《レトラン》と名付けられたその現象との遭遇で、人類の認識・文明は解体されていくことになる。

『わたしリボルバー』以外の織倉SFに共通する言語体である「レトラン」概念と人類のファーストコンタクトを描く作品になる予定だった。レトランは、異邦人(レトランジェ)と天使(アンジェ)を合わせて、レトランジェが縮まったもの。これはとても便利なマクガフィンなので、今後もどんどん登場させていくつもり。つもりだったのだけどな。

作者が精神的に参っていた時期に構成された作品であるが、その後快復してしまったので、当時の感覚を思い出しながらかけるか不安でもある。でも今読み直してもそこそこいいの書けてると思うし、完成させたい。

配信しました。

自分の好きな小説を書くようにはしているが、やはりたくさんの人に読まれたいという気持ちもある。文章、このあたりがとても難しい。というのも、一望性を得難いからだ。Twitterとかで、スクショを取って公開するという方法はある程度有益だと思う。でもそうなると、どのシーンを切り取れば有効か……とかなる。自分の気持ちになって考えると……どうですかね、

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プロローグ.01 She said that... グリーンランプの灯し方/織倉未然 - カクヨム

しゅき……。

さて、ともかく配信しました。 小説の難しいのは、文章は全ての視界を占有してしまうというところ。作業しながら読んでもらう、ということが難しい。もちろん、自分の書いた文章を隅から隅まで読んでもらえるとそれはとても「へへへ…」ってなるんだけど、その手前にもう少し方法が欲しい。

そこで閃いたのが朗読です。

音声であれば、作業しながら聞くこともできる。普段やらないことでもあるし、新たな発見があったりもする。

『グリーンランプ』の主人公は、思考が発散してしまう、という特徴があるんだけど、文中ではそれを()に入れて表現している。これの朗読表現が難しい。でもなんとか方法を見つけていきたいですね。

僕は小説を書くときに、語感の良さみたいのを常に考えながらやっているんだけど、その甲斐もあって、思ったより読みやすい(吃らないとは言っていない)ものに出来上がっていると思う(作品総体としての「完成」という意味ではない)。

一つ表現の方法を増やすと、そこからのフィードバック的に色々課題も見えてくるし、今回のこの経験、悪いものではなかった。