Les miZenables

フランス語、ドイツ語、映画や本についてなど。いろんなことを横断的にやっていこうと思っています。

『ラスト・キャッスル』(2001年)

 監獄もので、刑務所が舞台の作品。
 お国のために尽くしたはずの囚人たちが、尊厳を回復すべく戦う話。たぶん、より深く観るにはベトナム戦争とか、アメリカの軍事と絡む司法制度とかを知っておいた方がいいのかもしれない。ぼくは全然そういうのに明るくないけど、まあでも楽しめた。
 説教くさいところはある、かもしれない。というのも、ロバート・レッドフォードはおじいちゃんで、英雄とされるキャリアを持ち、それが幅を利かせる――という見方もできるだろうからだ。ただ、やはり、そういう道を進んできた故の求心力というのはあるのだな。

 楽しめた理由は、映像の(これはあとで調べたところによる)コントラストによるものもある。囚人とそれを管理する側の色調の対比、天候などが、終盤に向けて変化していくのは無意識のうちに影響を与える部分があったんだと思う。
 しかし、何をおいてもこの映画の魅力は、ちょっと『MASTERキートン』的な部分があったからだ。ぼくはそれを感じて、で、テンションが上がった。ひとを惹きつけるのがそこに隠された歴史であったり(目の前にあるのに気がつかないもの)、手元にあるもので戦う術を作り出したり。そういうのが好きなら、見て楽しめるんじゃないか、と思う。

 

 

あらすじ

 ある刑務所にロバート・レッドフォード演じるアーウィン元中将が収監される。彼は戦争の(ベトナム戦争か)英雄だが、命令を無視した罪で収監されることとなる。刑務所長との面談で何を求めるかを聞かれ、彼は「刑期を終え、家に帰ること」と答える。
 この所長は戦争の骨董品を収集している。戦争の英雄であるアーウィンもと中将の著作も持っていて、にサインが欲しい。しかし、その本を取りに行って戻ってくるところ、憧れの元中将が「こういうもの(骨董品)を集めるのは戦場に参加できなかった.者のすることだ」というような言葉を聞いて、ショックを受ける。で、サディスティックな本性を見せてくる。

 お国のために戦ったのに、今は犯罪者として収監されている囚人たち。彼らは、サディスティックな所長によって、尊厳などを奪われている。同じ囚人として生活しながら、アーウィン元中将は、彼らの尊厳を回復すべく、様々な取り組みを行う。
 たとえば、それはこの中庭にある瓦礫を所長の命じるまま(単なる苦役として)積み上げることになっていたのだが、元中将は、かつてこの場所で城を築こうとした者がいることを示し、左官屋の息子を配してちゃんとした石垣を造ろうとする。これは囚人たちの心の支えにもなり、尊厳を回復させる。
 刑期をちゃんと立派に勤め上げるという、彼らなりの意思の象徴となる城壁。しかし、その内情を知ってから知らずか、所長にとっては、元准将が求心力を発揮し、囚人たちの心を掴むことが気に入らない。部下に命じて、彼はその城壁を破壊させる。今や防波堤は破壊された。アーウィン元中将率いる囚人たちが、今圧政に反逆する――という話。

基本的な情報

  原題「The Last Castle」。
 主演はロバート・レッドフォード。名前は聞いたことある。超有名人だ。
 でも具体的にどの映画に出ていたのかは知らない。『キャプテン・アメリカ』に出ていたことは覚えている(ウィンターソルジャーとのこと)。調べてみると、『モーターサイクル・ダイアリーズ』の製作総指揮も務めていたとのこと。それなら観た。それくらいか。あとフィリップ・K・ディックの『ヴァリス』にも名前が出てくる――名前が出てくるだけだけど。

シネマトログラフィについて

 日本語版のWikipediaには、「ラスト・キャッスル」という項目がある。けれども、こちらには情報が少なく、基本的な情報しか書かれていない。ストーリーの項目にも加筆待ちなので、あまり参考にはならない。

 一方で、英語版の方はかなり量がある。

 中でも、「3.1 Cinematography」は興味深い。
 CinematographyはWeblio英和辞書なんかでは「映画撮影法」などと書いてある。これだけ言われてもピンとこない。来ませんね。難しい。そもそも、監督と製作の違いもわかってない。
  この映画について言えば、

To show the balance of power, the film crew used multiple cinematography techniques involving different displays of color, lighting, camera and costumes. In the warden’s office intense color was used to reflect freedom or power, in contrast to the washed-out colors from the less powerful yard. The contrasts shift as the story progresses, showing the increasing power of the prisoners… The Last Castle - Wikipedia

とのことで、なるほど確かになと思うところはある。所長のオフィスは色彩豊かだったけれど、一方で当の囚人側は色彩に乏しかった。「これらの1対比がストーリーの進行に合わせて変わっていって、囚人側の力が増していることを示している」、とのこと。
 

 

おわりに

 そういえば、『ショーシャンクの空に』(1994年)という映画でもそういうことをやっていたような気がする。
 映画に限らず、アニメでもあるな。小説でもあった。なんかこう、色に対する認識がすっぽりと抜けている自分に気がつきましたね。中学生の頃には、そういうことに気をつけて書いていたような気がするのに。

 このシネマトログラフィについては、本をあまり持っていない。参考にはできると思うので、ちょっと覗いてみたい。もちろん、小説と映画は異なるし、小説を読んで映像が浮かぶとしても、頭の中にある映像を文章として出力できるか、すべきか、となると話は変わってくる。ぼく自身の好みも変わってきて、読んで楽しい文章と頭の中の映像は必ずしも一致しないな、となってきている。

 最近映画を観たら感想を書こうとしているのは、これは覚書のようなもので、自分の知らない知識をリスト化する目的があったりする。図書館が機能していれば、本を借りに行ったりするつもりなんだけど、いかんせん今は時期が悪い(とここまで書いてオンラインでレンタルできたな? と思い出す。)
 あとは、物語の全体量と、相対的なセリフ量とか盛り上がりの配置などを空気として掴みたいというのがある。小説と映画はやっぱり異なるので、完璧に対応するってわけもないだろうけど、それでも最近アンテナが鈍すぎるから……。


  1. Wikipediaの記事では”multiple cinematography techniques… color, lighting, camera and costumes.”とある。