鬱がひどすぎるので作曲することにした
「経緯」は読まなくていいので、「作った曲」だけでも聴いてみてください。オススメは「Run Away Out Of」と「Tiny Monster」です。
経緯
中古品のMIDI鍵盤は、そこそこ前に買ってあったが、肝心のパソコンと繋ぐケーブルを持っていなかった。それさえあれば、とも思ったが、作曲についてのモチベーションはそんなに高くなかった。それっておれの親友が担当していることだったし、彼に倣ってやっていたのも九年とか四年以上前の話だ。
ぼくにもほしいサウンドはある。どの、と言われても困る。まだまだ知らないジャンルも多いと思う一方、そこそこ聴いてきた自負もある。一旦「音楽一家」とすることも定義次第では可能だ。ぼく自身、ピアノを習っていたこともある。そのときにジャズピアニストに教わった、「コードは基本形で弾かず(それはベースに任せて)、展開したものを弾く」みたいな言葉は、今でも残っている。
さて、最近は体調が悪かったので、頭がマジで回らなかった。他者から見て「どうしてそういう考えになるのか分からない」と言われる始末だ。「多分ご自身でも整理できてないんだと思います」。その通りだと思った。
実際、頭だけでなく体にも影響が出ていた。実際的な問題について考えようとすると、胃が痛む。外に出かけるときは、目をほとんど閉じ、ひどいときは耳栓もする。騒音に聞こえてしまい、音楽を聴くこともできなかった。文化的ものに対する拒否反応、「おれにはそれらを享受する資格なんてないんだ」みたいな被害妄想がリアルだった。
そこで決めた。思考はもう手放そう。
さて――とは、いくらか寛解した今だからこその診断だ――ぼくの胃を固く握りしめるのは一体なんなのだろうか。それが雑に言って「考え過ぎ」ってものだとして、論理的思考に起因するものなのだとしたら、左脳の調子が悪いんじゃなかろうか。たとえば、疲れ過ぎているなどして。
もちろん、脳は左右両方が協働しているわけだから、これはあくまでイメージの話だ。左脳がダメでも、右脳の方はどうだろうか。感性的なもの、芸術的創造的なもの、できるだけアタマを使わないこと。調子が悪いからって休み続けるのも疲れたし、ゲームばかりやっているのにも危機感を覚えた。
ようやく本題だ。ぼくはMIDI鍵盤とMacbookを繋ぐケーブルを買い、DTMソフトGarageBandを起動した。
作った曲
- test on.soundcloud.com
今日のワンドロ(230611)on.soundcloud.com ここまでは1時間だけでやっていた。友人に聞いてみたところ、「展開がほしいですね」とのことだったので、翌日はそれに挑戦してみることにした。
展開しろって言うから狂ってみた - 2023:06:12 23.09 on.soundcloud.com その結果できたのがこちら。スーパーでかかっていそうな感じになったが、途中で特売セールが入る。フレーズとフレーズの繋ぎ方が雑過ぎるので、どうにかしたいと思った。
Practice 6A - 2023:06:15 17.00 on.soundcloud.com ここから「毎日1曲」キャンペーンがスタートする。この頃は「やってみたwww」みたいなノリだった。
Practice 9 - 2023:06:16 on.soundcloud.com 2日目。ゲーム音楽みたいになった。ペルソナ3とかこんな感じか?(未プレイ)。フレーズ間の繋ぎは多少マシになっている。第二フレーズで戦闘リザルトみたいな音がなる点、後半の似たテーマが展開する感じがゲームっぽいったらそうかも。
Run Away Out Of(wip) - 2023:06:17 on.soundcloud.com 3日目。友人に「ポップみたいの作ってみてよ」と言われたので挑戦してみた曲。彼はビートルズの信奉者なので、自分の中のそれっぽいイメージを探そうと試みた。最初だけは自分の中の像に一致したが、途中からズレる。一応、「We run away out of...」と歌い出すイメージ。
Tiny Monster (wip, Practice 11) - 2023:06:18 21.27 on.soundcloud.com 4日目(1)。前日に引き続き、ポップっぽいのを作ろうとした。冒頭フレーズにthe pillows味、そこからoasis味が若干出た気がする。途中の盛り上がり方が渾身の出来。一応、「...we met a little, baby, tiny, shiny monster... 」とか「he wanna be a rock star」とかの歌詞が想定されている。
Tiny Monster (side B) - 2023:06:18 21.52 on.soundcloud.com 4日目(2)。上の曲を楽器だけ変えたもの。これはこれで雰囲気が出てるし、目指したい方向性が見えた気がした。ブルアカのBGMが自分で作れたら最高だと思う。
Practice 12 - 2023:06:19 on.soundcloud.com 5日目。ポップス・チャレンジは3日目。HiGEとか、XTC、The Sternsを牽強付会した上で取り出した共通項みたいな感じがある。「右も左も仕事人仕事人 視線下げて進むのだ」みたいな歌詞が想定されている。
Practice 13 - 2023:06:20 on.soundcloud.com 6日目。一旦、原点回帰的してみようと思った。フレーズの繋ぎ方はずいぶんマシになったと思う。音がうるさい日だったので、全体のボリュームが下がってしまった。歌詞は想定されていない。実はこの日から作曲を続けることが辛くなってきた。もっとも、この「辛い」ってのは誤った認識の可能性がある。単純に連日の作業で疲れているだけかもしれず、実際体重も減っている。食事も変わっておらず、運動もせず、睡眠時間は増えてきている。全然寝足りない。累積するものがあるんだろう。
Practice 15 - 2023:06:21 on.soundcloud.com 7日目。前日の反省から、「音を減らす」を目標にやってみた。一応、想定している歌詞はあったが、結局没になった。MIDI鍵盤の電池がまたしても切れたので、作業の継続を断念。
作曲を通じて
次の過程で学びがあった。
どれかのトラックが要求するコード、メロディ、リズムなどがある: 自分の中でキモチイイと感じるのは、それまでの音楽経験に基づくだろうが、対象としてみた時にそいつらは相通じている。
他のひとと音楽を作るのは楽しいかもしれない: 一度、友人がギターをつけてくれたことがある。今になって分かるのは、ぼく側のコード認識が間違っていたかもしれない点、そもそも原案の拍感覚がズレていたり、トラック同士が調和できてなくてニュアンスが伝わらなかったせいもある。ぼくが我を出してしまうおそれがあるから、実際は難しいだろうけど、楽しいかもなとは思った。
フレーズは捨てる必要がある: 作業をしていると、いくつもアイディアが浮かぶ。全てを採用して繋げようとすると無理が生じる。そうなると選ぶ必要が出てくるが、「せっかく良いフレーズなのに」ってのが出てくる。この割り切りが大事なのかもしれない。
生活がどう変わったか
- 瞼を開けて外を歩けるようになった。
- 体重が減った。
- 「明日はあれを作ろう」「明日こそはもっともっともーっと良い曲作ってやろう」みたいな気持ちが湧いてきた。
- そろそろDTM系の動画とかを見てもいいかもしれないと思えるようになった。
一方で、自分の悪癖として「退き時が分からない」「疲労を踏み倒してでも前進してしまいがち」ってのを再認識しつつあるので、左脳も少しずつアップをはじめた感じがある。このまま小説がまた書けるようになるまで、ていうかもっとマシな曲を素早く、気楽に作れるようにやっていきたい。
総合的には前向きになっている。