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[ドイツ映画]『帰ってきたヒトラー』が面白かった話

笑えるけど、笑いごとなんだろうか……?

帰ってきたヒトラー』(原題: Er ist wieder da)は、2015年に公開されたドイツの映画。原作は同名タイトルの世界的ベストセラー小説。現代に復活したヒトラーが人々の心を掴んでいく様がコミカルに描かれるが、ただのフィクションとして処理して良いものか悩むこと必須であり、射程の広い作品。

予告編はこちら↓

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今作のヒトラーは時空を超えて現代にやってきたらしいので、この点SF的でもある。時代の違いに戸惑いながらも、速やかに適応していき、人々の抱えている悩みを吸い上げ、得意の演説スキルで人心を掴む様は、さすがとしか言いようがない。そして、それだけに、空恐ろしさもある。

戦後50年以上経った現代は、それほどヒトラーの引力から遠ざかることができたのか、我々は無意識の内に彼のような存在を求めているのではないか、と様々に考えさせられる一本。この後を引く感じ、実に堪らない。

あらすじ

現代に復活したアドルフ・ヒトラー(演: Oliver Masucci[^1])と、テレビ局職員サヴァツキの交流がメインになる。

この映画の面白いところ

1. ヒトラーの"魅力"とカリスマ性
ドイツの為、人々の為、という行動原理がブレないのが困りもの。人々が抱えている諸問題を理解し、それを解決するという部分は否定できるものではない。もちろん、その手段を非難することはできるが…。

  1. 文化の違い
    ワンダーウーマン』もそうだが、我々にとって当たり前の文化・文明を使いこなせないというのは萌えポイントの一つである。世間知らずキャラの話。

  2. 過去のヒトラー作品へのリファレンス
    ヒトラー最後の12日間』の有名なシーン(おっぱいブルンプルン)のシーンが再現されている。完璧なまでの再現っぷりに、思わずフフっとなること請け合い。

その他のドイツ映画オススメ

ドイツ映画ということで、オススメも紹介しておく。ドイツ語の情緒性のようなものを堪能できるだけでなく、ドイツの風景を楽しむことができる。もちろん映画としても楽しめるので、ぜひ見ていただきたい。

  1. 『グッバイ・レーニン』(2002年; 原題: Good Bye Lenin! )
    ベルリンの崩壊を経験する家族の物語。東独に深くコミットしていた母が倒れ、彼女が目覚めた時には壁が崩壊している。主人公の青年は、壁が壊れたことを彼女に隠すべく、友人たちと様々に手を尽くす。

      


    グッバイ、レーニン!(字幕版)

  2. 『ベルリン天使の詩』(1987年; 独:Der Himmel über Berlin; 英: Wings of Desire;) ヴィム・ヴェンダース監督作。ベルリンの壁がある時代の話。図書館に集う天使達。その中のひとりが、サーカスの女性に恋をする。文学性が楽しめる。

      

  3. 『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』(1997年; 原題: Knockin' on heaven's door) 末期ガンと宣告された二人の青年が、天国で流行している海の話をするために、海を見にいく話。

[^1]: ちなみにこのオリバー・マスッチは、Netflixで配信中のドイツTVシリーズ『Dark』でUlrich Nielsenを演じてもいる。