Les miZenables

フランス語、ドイツ語、映画や本についてなど。いろんなことを横断的にやっていこうと思っています。

『宇宙戦争』(2005年)

 『宇宙戦争』を見た。なぜだ。わからん。
 今まで何度かチラチラと見たことがあるんだけど、チラチラとでしかなかったらしく、最初から最後まで見るのはこれが初めてだったみたいだ。知らないシーンも多かったし、トム・クルーズ演じる父、レイ・フェリアーの人となりもよくわかっていなかった。イントロの語り、エンドロール直前の語りはスティーブン・スピルバーグっぽい説教的な印象を受けたけど、原作だとどうなっているのかな。

 原作はH・G・ウェルズの同名小説、『宇宙戦争』。古典なのでいくつか翻訳のバージョンがある。これを機に創元SF文庫版をKindleで買った。

 この原作は1898年に発表されたというから凄まじい話だ。19世紀末。シャーロック・ホームズシリーズの第一作『緋色の研究』の発表が1887年のことで、『カラマーゾフの兄弟』が1880年に出版されたことを考えると、「19世紀末」という時代がちょっとしたテーマとして浮かび上がってくる。いうてジュール・ヴェルヌが生きていた時代でもある。
 こちらの原作は、映画と異なって舞台がイギリス。オターショウ、チャートシー、ホーセル、ナップヒル、ウォキング、チョバム……など地名と思しき単語がよく出てくる。
 当然、イギリスの地理がわからないので、どこの方に異星人が現れて、どの辺りで主人公の「わたし」がワタワタしているのか、よくわからない。わかりませんでした。そんなところでオススメなのが、そう、Google Map。ハハハ、良い時代だぞ。
 11章現在、火星人という異形の者による殺戮から主人公が逃げ回っているだけで(だけで、という言い方もないよな……)、科学的考証やそういった議論が描かれてはいないので、その点は少し物足りなさがある。個人的にSFに求めている好物がそういったものなので。
 けれども、地図を見ながら、彼がどこで息を潜め、どの方角に何が見え、どこからどこへ移動しようと考えているのかを考えながら読むと、ヒリヒリするようなリアルさがある。たとえば地図を見ると、まっすぐいけそうな道はあるんだけど、そこは通れないんだな、と想像することができたりする。今も昔も同じ道があるのか、同じ道しかないのかはわからないけれどね。

 さて、スピルバーグ版『宇宙戦争』の話をしなければならない。
 今回のトム・クルーズはお父さんです。

 終始ハラハラさせられる映画だった。特に、宇宙人のマシーンから地下に身を潜めているシーン。人間を探して機械の触手が入り込んでくるんだけど、ここまでレイや娘と近づいたことはそこまでなかった(と思う)。ここの緊迫感の出し方はさすがスピルバーグ監督で、『ジュラシック・パーク』のあるシーンを思い出した。
  * 『宇宙戦争』という作品は有名なので何度か映画化されている。1953年のバージョンもある。今度見る。


* ラジオで「火星人襲来」ってニュースが流れて、人々がパニックになったって話の元ネタがこの小説。