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ブログをメモ帳と勘違いしている

026本目 : 『バニラ・スカイ』(2001年)

バニラ・スカイ』は2001年のアメリカ映画。1997年のスペイン映画『オープン・ユア・アイズ』のリメイク作品とのこと。キャメロン・クロウ監督。トム・クルーズ主演。

いきなりRadioheadの「Everything In Its Right Place」からはじまる。誰もいない街を車で走るシーンは、もうそれだけでこの映画をマイベストにノミネートさせる。

レディオヘッドの”Everything in Its Right Place”をApple Musicで

ほかにはPeter GabrielChemical BrothersSigur RosBob DylanTodd RundgrenPaul McCartney など。なんだよおまつり騒ぎかよ! 魅力的な音楽が効果的に流れるので、もう「あー」って感じ。映像の美しさと相まって、もう最初から最後までひたすら楽しい。いや正直言うと、Todd RundgrenXTCの関係者ってことで覚えてはいたんだけど、なるほど良いですね、最高ですね。ありがとうございます。

トム・クルーズは演技上手だな。こう彼の特徴的とも言える微笑みは、それ自体が仮面なところもあって、映画によっては何を考えているのかわからないこともあるんだけど、この映画の彼は優しさが隠れている。そしてそれ故に、愛に悩み、現実と夢との区別を見失っていく。

自動車事故によって顔の歪んでしまった彼は、マスクをつけて生活することを余儀なくされる。それは有害な光線から皮膚を守り、顔の治癒力を向上させるため、と説明される。でもそれ以上に彼にとって、作品全体にとっても、その仮面は大きな意味を持つのだ。クラブで彼は仮面を外して、頭の後ろにつける。その姿はヤヌス神を模している。Januaryの起源ともなった、敷居の神。過去と未来を同時に見ると言われる神に似て、彼は多分、夢と現実、過去と未来の間で揺蕩っていた。

トム・クルーズといえば、『コラテラル』の話もしたいし、「夢か現実か」ってテーマで言えば、話をしたい映画もいくつかある。でもとりあえずはこの『バニラ・スカイ』を見てくれ。とても好きな映画なんだ。